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幽霊西へ行く(日语原文)-第12章

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 警部は皮肉な笑いをもらした。
「それはもちろんそうでしょう。あなたは知らず知らずの間に、他人の霊魂《れいこん》の言葉をとりついだだけでしょうね」
 霊媒《れいばい》は、大きなハンカチで額《ひたい》の汗《あせ》をふいた。
「いや、そうおっしゃられると、穴があったら入りたい思いですが……あの時は、弥生さんの霊魂が、私にはのりうつっていなかったんです、そこへあんな言葉が聞こえて来たものですから、私もびっくりしてしまって」
「術がやぶれて、人間世界へ舞《ま》いもどったというわけですね。そういえば、あなたのさっきの顔……といったらなかった……ところで、あなたは前にも、弥生さんが殺されるという、霊魂の言葉をささやいたということですね。それにはトリックはないんですか」
 霊媒は、とたんに霊気《れいき》をとりもどした。
「警部さん、今度はうまく行きませんでしたが、これで私の降霊術《こうれいじゆつ》の力はおわかりになったでしょう。神秘疑うべからず――です。つまり、私は今度の殺人事件のことを、あらかじめ予言していたというわけですね」
「嘗《な》めるな」
 警部は、つめたい怒《いか》りを爆発《ばくはつ》させた。
「いわせておけば、どこまでつけ上がるつもりだ。法廷《ほうてい》では、そんな寝言《ねごと》は通用しないぞ」
「法廷――?」
 相手は顔色をかえていた。警部は、指の関節をポキポキいわせながら言葉をつづけた。
「貴公《きこう》は誰《だれ》かにたのまれて、弥生さんを茫取钉瑜Δ悉筏筏皮い郡恧Α¥い铯氦戎欷俊⒔穸趣问录畏溉摔栓D―だ。情を通じて、殺人の行為《こうい》を助けた罪を殺人|幇助《ほうじよ》という。刑法《けいほう》ぐらいは研究しておけ。貴公、刑務所《けいむしよ》には、何度行って来た」
 霊媒《れいばい》は、とたんに震《ふる》え上がってしまった。憐《あわ》れみをこうような、ひくい声で、
「三度です」
「前科三犯か、罪名は」
「詐欺《さぎ》です。株屋の番頭をしていたとき、店の罪を背負って行って来ました。帰って来ると、凱旋《がいせん》将軍のような待遇《たいぐう》を受けるものですから、ついことわりきれなくなって……」
「霊媒をはじめたのは、誰の入智悾钉い欷陇ā筏馈
「私も最後には、こんなことをくりかえしていては、身の破滅《はめつ》だと思いました。それで、日高さんのところへ相談に行きました。若|白髪《じらが》で、年より老《ふ》けて見えるものですから、あの方が、考えて下さったのが、この商売なんです」
「株屋の上がりでは、口もうまかろうから、うってつけだったな」
「おかげで食えるようにはなりました。甘《あま》いもんです、世間というものは、前科三犯でもちょっとあたると、先生、先生といってくれます」
「それで、弥生さんをおどしていたのは」
「やっぱり日高さんでした。上海《シヤンハイ》当時の、弥生さんの素行《そこう》の暗いかげを知っていて、弥生さんを、おどしていたらしいんです。あのころでも、女一人が食いつめて上海まで流れて行こうとするのは、いろいろの事情もあったでしょう。くわしいことは知りませんが、それをたねにして、強面《こわもて》に出て、マネ弗悌‘になることには成功したようでした。しかし、最後のものだけは、どうしても許さなかったようです。それでイライラして、私にあのようなことをいうようおどした、というのが、日高さんの心境じゃありませんか」
「それじゃ、弥生さんの、ほんとうの愛人というのは、誰《だれ》だったんだ」
「分かりません。正直なところ、私には分かりません。世間の噂《うわさ》ほど、あの人の素行《そこう》に乱れがあったとは、私にも思えないんです」
 高島警部は沈黙《ちんもく》した。霊媒《れいばい》は、まるで最終判決をうけた時のような、あきらめきった表情で、
「お眨伽颏Δ堡蓼骨挨恕ⅳ长Δ筏埔磺肖蚋姘驻瞬韦盲郡韦稀ⅳ浃盲绚觐櫋钉à辍筏撙啤⒆苑证巳酩い趣长恧ⅳ盲郡椁扦筏绀Δ汀饯稀ⅳ长欷椁嗓Δ筏郡椁いい扦筏绀Α
「自分の部屋《へや》に帰りたまえ。そして、今の話はだれにも黙《だま》っていたまえ。君がほんとうに、この事件に関係がなかったら、これから正業につくつもりなら、僕はいまの話を聞かないことにしてもいい」
「警部さんありがとうございました」
 喜色をうかべた霊媒は、ていねいにお辞儀《じぎ》をして部屋を出て行った。
 警部は沈痛《ちんつう》な気持ちであった。あの階段で立ち聞きした、日高晋と松前明の会話にも、心理的な裏づけが得られなかったような気になった。
 それでは、日高晋にも殺意はあったのだろうか。金の卵を生む牝鶏《めんどり》を……棧垦aが、興奮の色を浮《う》かべて、部屋に入って来た。
「高島さん、図星ですよ! あの支那鞄《しなかばん》は、予想通りでした」
「どうだったんです」
「あの支那鞄は、二つとも、小田急沿線の新映|撮影所《さつえいじよ》へ撙肖欷评搐郡猡韦扦埂R护膜稀ⅳⅳ谓鹛铯趣いη嗄辘⒊韦Δ沥恕⒆约矣密嚖扦趣嗓堡郡韦坤饯Δ扦埂¥饯螘r彼は、弥生さんからの言伝《ことづて》だといって、いま一つ、別に荷物をとどけるから、それまで出発を待って欲しいといったそうです。会社では、ブ蜘‘いいながら、七時すぎまで、トラックの出発を待っていたそうですが、その時初めて、もう一つの支那鞄がとどけられたそうです」
「それで……」
「ところが、この鞄は二つとも、四十キロ以上の重さがあったそうです……五十二キロぐらいといっておりましたが、正確なことは分かりません。ただその一つは、すっかり空《から》になっていました……あとの一つは、大体同じ重さでしたから、何の問睿猡ⅳ毪蓼い趣纤激い蓼工ⅳ饯欷袱悚ⅰⅳ长慰栅畏饯沃庆帯⑵邥rすぎに撮影所にとどけられた方には……」
「死体が、つめこまれていたのかも知れないね」
 警部はひくくつぶやいた。

    5

 舞台《ぶたい》は今や一転して、枺─艘皮盲俊8邖u警部が朧《おぼ》ろに感じていたように、この殺人の現場はやっぱり熱海ではなかったのだ。
 山本譲治の姿は、自《おのずか》ら大きくクロ亥ⅴ氓驻丹欷评搐搿
 秀麗《しゆうれい》な額《ひたい》に、苦渋《くじゆう》の汗《あせ》を浮《う》かばせて、思いがけなく与《あた》えられた主役の位置を、驚《おどろ》くように、彼は告白を始めて行った。
「おそらく、私が生きている上杉さんの姿を目撃《もくげき》した、最後の人物かも知れません……午後五時に、上杉さんは、私の家にたずねて来られたのです……」
 五時……呙螘r刻の三時間前……新宿駅から普通《ふつう》電車で四十分……新映映画の撮影所《さつえいじよ》から徒歩十五分の彼の家……
 警部の胸は高鳴った。もちろん百戦|練磨《れんま》の彼のこと、その表情を面に表すことはしなかったが……
 高島警部は、何気なさそうに、煙草《たばこ》をテ芝毪紊悉衰去螗去螭冗怠钉郡俊筏胜椤
「何か秘密のご用件でもおありだったんですか。さっきあなたは、えらくそのことを気にしておいでだったようですね」
「別に何でもありません。仕事の上の話をして、六時ごろ帰って行きました。ただ、私は……天野さんの手前、それにふれるのが、何だかお気の毒のような気がしたので……」
「食事でも、いっしょになさったんですか」
「別に……」
 といいかけて、彼は伲鼏枻我馕钉藲荬膜い郡韦⒏袀膜收{子になって、
「解剖《かいぼう》のお役に立つんですね。あの美しかった肉体に、メスがあてられるというのは、なんだか冒涜《ぼうとく》のような気がしますね」
「やむを得ないことです。絞殺《こうさつ》するよりは冒涜でもないでしょう」
「ちょうど、あの時家には誰《だれ》もいませんでしたから、ありあわせのカステラに紅茶をすすめましたが、一片つまんだと思ったとき、急に時計が六時を打ちました。わたし、もうおいとましなくちゃとあわてて帰って行きましたが……それが私の、あの人を見た最後でした」
「どこへ行くともいわないで……」
「いいえ、これから熱海へ行くんだ、とそういっていましたが」
 警部は、煙草《たばこ》の煙《けむり》を天井《てんじよう》へ吹《ふ》き上げながらしばらく考えこんでいた。
「山本さん、はっきり申しあげますと、いまあなたは、非常に重大な立場におかれているのです」
 警部の言葉の眨婴悉铯盲俊V亍─筏⒁谎砸谎浴職n《おくば》でかみしめて吐《は》き出すように、
「さっきも申しあげたように、この殺人の犯人は、降霊会《こうれいかい》の実際の席に居あわせた人間の中にいるのです。ところが、弥生さんの死体は、七時ごろ、支那鞄《しなかばん》の中につめこまれて、枺─涡掠秤郴未橛八钉丹膜àい袱琛筏恕
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