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白夜行:日文版-第7章

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気を送ってやると、ぴょんと跳《は》ねる仕掛けだ。祭りの時などに夜店で売っている。西本文代の内職らしい。
「お嬢さん、お名前は?」笹垣は少女に訊いた。いつもなら、お嬢ちゃん、と呼びかけるところだったが、彼女に対してはふさわしくないような気がした。
 彼女は本に目を落としたまま答えた。「西本ユキホです」
「ユキホちゃん。ええと、どういう字を書くのかな」
「降る雪に、稲罚Г畏'です」
「ははあ、それで雪罚Г沥悚螭¥à挨浃省构刨Rに同意を求めた。
 そうですね、と古賀も頷く。少女は無反応だ。
「雪罚Г沥悚蟆①|屋の『きりはら』という店、知ってるか」笹垣は訊いてみた。
 雪罚Г悉工挨摔洗黏à胜盲俊4饯蝮陇幛皮椤⑿·丹hいた。「母が時々行きます」
「うん。そうらしいね。あの店のおっちゃんと会《お》うたことはあるか」
「あります」
「この家に来たことは?」
 すると雪罚Г鲜驻騼Aげ、「あるみたいです」と答えた。
「雪罚Г沥悚螭い霑rに来たことはないの?」
「あったかもしれません。でも、覚えてません」
「何しに来たんやろ」
「知りません」
 ここでこの娘を詰問するのは、あまり得策ではないかもしれないと笹垣は思った。これから何度も伲鼏枻工霗C会があるような気がした。
 笹垣は再び室内を眺めた。特に目的があったわけではなかった。ところが冷蔵庫の横のゴミ箱を見た時、思わず目を見開いていた。あふれるほどに入ったゴミの一番上に、『ハ猊拴‘』のマ毪盲堪呒垽dっていた。
 笹垣は雪罚Г蛞姢俊¥工毪缺伺饶郡悉盲俊1伺悉工挨四郡颏饯椁贰ⅳ蓼勘兢蛘iむ姿勢に戻った。
 彼女も同じものを見ていたのだと笹垣は直感した。
 それから少しして、不意に少女が顔を上げた。本を椋Г浮⑿vのほうを見た。
 笹垣は耳をすませた。サンダルをひきずって歩くような足音が聞こえた。古賀も気づいたらしく、小さく口を開いた。
 足音はさらに近づき、この部屋の前で止まった。かちゃかちゃと金属音がする。鍵を取り出しているらしい。
 雪罚Г丧ⅳ韦趣长恧蓼浅訾皮い盲俊!告I、開いてるよ」
「なんで鍵をかけとけへんの。危ないやないの」そういう声と共にドアが開いた。水色のブラウスを着た女が入ってきた。年齢は三十代半ばか。髪を後ろで束ねていた。
 西本文代はすぐに笹垣たちに気づいた。虚をつかれたような顔をし、娘と見知らぬ男たちを交互に見た。
「警察の人やて」少女がいった。
「警察の……」文代の顔に怯《おび》えの色が浮かんだ。
「大阪府警の笹垣といいます。こっちは古賀です」笹垣は立ち上がって挨拶した。古賀もそれに倣《なら》った。
 文代は明らかに動揺していた。顔は青ざめ、自分が何をすべきか思いつかない様子だった。紙袋を持ったまま、ドアも椋Г幛氦肆ⅳ辆·筏皮い俊
「ある事件のことで捜査をしてましてね、西本さんにお尋ねしたいことがあるので、お邪魔したというわけです。留守中に上がり込んで、すみません」
「ある事件て……」
「伲荬韦袱丹螭韦长趣撙郡ぁ寡┓'が横からいった。
 文代は一瞬息をのんだようだ。この二人の様子から、彼女たちがすでに桐原洋介の死について知っていること、その死について母子で何らかの会話を交わしていることを笹垣は確信した。
 古賀が立ち上がり、「どうぞおかけになってください」と文代に椅子を勧めた。文代は動揺の色を全く消せぬまま、笹垣の向かい側に座った。
 顔立ちの整った女だなと笹垣はまず思った。目尻が少し緩みかけているが、きちんと化粧すれば、間摺い胜廊摔尾款悿巳毪毪坤恧Α¥筏饫浃郡じ肖袱蚊廊摔馈Q┓'は明らかに母親似といえた。
 中年以上の男なら、夢中になる者も少なくないだろうと笹垣は想像した。桐原洋介は五十二歳。下心を持っても不思議ではない。
「失礼ですけど、御主人は?」
「七年前に亡くなりました。工事現場で働いてたんですけど、事故で……」
「そうですか。それはお気の毒なことでしたなあ。今、お仕事はどちらのほうで?」
「今里《いまざと》のうどん屋で働いてます」
『菊や』という店だと彼女はいった。月曜から土曜の午前十一時から午後四時までが勤務時間だという。
「その店のうどん、おいしいですか」相手の気持ちを和ませるためだろう、古賀が笑顔で訊いた。だが文代は固い表情で、さあ、と一回首を捻っただけだった。
「ええと、桐原洋介さんがお亡くなりになられたことは御存じですね」笹垣は本睿巳毪毪长趣摔筏俊
「はい」と彼女は小声で答えた。「びっくりしました」
 雪罚Г赣Hの後ろを回り、六畳間に入った。そして先程までと同じように、押入にもたれて座った。その動きを目で追った後、笹垣は文代に視線を戻した。
「桐原さんは何らかの事件に巻き込まれた可能性が高いんですわ。それで、先週金曜日の昼間に自宅を出てからの足取りを眨伽皮い毪螭扦工堡伞ⅳ长沥椁韦思膜盲郡韦扦悉胜い趣いυ挙訾皮蓼筏皮汀
「いえ、あの、うちには……」
 いい淀む文代の言葉を遮《さえぎ》って、「伲荬韦袱丹蟆⒗搐悉盲郡螭扦筏纭工群幛檠┓'がいった。「『ハ猊拴‘』のプリン、持ってきたのはあのおじさんと摺Δ危俊
 文代の狼狽《ろうばい》が笹垣には手に取るようにわかった。彼女は唇を細かく動かした後、ようやく声を発した。
「あ、そうです。金曜日に桐原さん、いらっしゃいました」
「何時頃ですか」
「あれはたしか……」文代は笹垣の右横を見た。そこにはツ丧ⅴ骏ぅ驻卫涫i庫が置いてあり、上に小さな時計が載っていた。「五時ちょっと前……やったと思います。私が家に帰って、すぐでしたから」
「桐原さんは何の用でいらっしゃったんですか」
「特に何の用ということもなかったと思います。近くまで来たから寄った、というようなことをおっしゃってました。桐原さんは、うちが母子家庭で経済的に苦労していることをよく御存じで、時々立ち寄っては、いろいろと相談に仱盲皮欷悉盲郡螭扦埂
「近くまで来たから? それはおかしいですな」笹垣はゴミ箱に入っている『ハ猊拴‘』の包装紙を指した。「それは桐原さんが持ってきたものでしょう? 桐原さんは最初、それを布施の駅前商店街で買おうとしたんです。つまり布施駅の近くにいた時点で、こちらに来るつもりやったわけです。ここは布施からはずいぶんと離れてますよねえ。最初からこちらのお宅に来るつもりやった、と考えたほうが自然やと思うんですけど」
「そんなこといわれても、桐原さんがそうおっしゃったんやから仕方ないやないですか。近くまで来たから、ついでに寄ったって……」文代は俯いたままでいった。
「わかりました。そしたら、それはそうしておきましょ。桐原さんは、何時頃までこちらにおられました?」
「六時……ちょっと前にお帰りになったと思います」
「六時前。間摺い胜い扦工
「たぶん間摺い胜い扦埂
「すると桐原さんがここにいてはったのは、約一時間ということになりますね。どんな話をされましたか」
「どんなて……ただの世間話です」
「世間話にもいろいろとあるでしょ。天気の話とか、金の話とか」
「はあ、あの、戦争の話を……」
「戦争? 太平洋戦争の?」
 桐原洋介は第二次大戦で出征している。その話かと思った。だが文代は首を振った。
「外国の戦争の話です。それでまた石油が値上がりするやろうというようなことを、桐原さんはおっしゃってました」
「ああ、中枺鼞檎菇裨鲁酩幛耸激蓼盲康谒拇沃袞|戦争のことらしい。
「これでまた日本の経済はがたがたになる。それどころか石油製品が値上がりして、しまいには手に入らんようになるかもしれん。これからはどれだけ他人より金と力を持ってるかという世の中になる――そんなことを話してはりました」
「ほう」
 目を伏せながら語る文代の顔を見ながら、このあたりは本当のことを話しているのかもしれないなと笹垣は思った。問睿稀ⅳ胜纪┰饯螭胜长趣颏铯钉铯钉い盲郡馈
 自分には金と力がある、だから自分に従ったほうが身のためだぞ、そういう暗示が含まれていたのではないかと彼は想像した。『きりはら』の記録によれば、西本文代が金を返して伲荬虺訾筏郡长趣弦欢趣猡胜ぁ¥饯Δいω毟Fした状態につけ込もうとしたことは大いに考えられる。
 笹垣は雪罚Г颏沥椁辘纫姢俊!袱饯螘r、お嬢さんはどちらに?」
「ああ、この子は図書館に……そうやったね?」彼女は雪罚Г舜_認した。
 うん、と雪罚Г戏凳陇筏俊
「なるほど、その時にその本を借りてきたわけや。図書館にはよく行くのかな?」直接雪罚Г藢い亭俊
「週に一、二回」と彼女は答えた。
「学校の帰りに寄るわけ?」
「はい」
「行く日は決めてるの? たとえば月曜と金曜とか。火曜と金曜とか」
「別に決めてません」
「そした
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